ウガヤ王朝滅亡から大和王朝誕生まで!【その3】

このシリーズでは、まず【その1】で、神武天皇が豊の国から奈良の橿原に遷都した後、その息子たちの動きを追いながら、第二代・綏靖天皇やその異母兄弟・タギシミミが確かに実在していたというお話をしました。

まだ読んでいない人は、こちらから予習しておいてください。


さらに【その2】では、【欠史八代】と呼ばれる初代の天皇たちが、本当に実在しなかったのかどうかを、さらに詳しく検証してみました。


そこで今回は、神武天皇が残した史実と、その人物像について検証します。

それでは、長編連載シリーズ【第3弾】をお楽しみください。



ウエツフミに残された神武天皇の実在性を証明する史実!

さてさて、それでは「神武天皇は実在しなかった!」

「実は崇神天皇の逸話がコピーされて、時代を遡ってペーストされたのではないか?」

と考えている人たちに対する反論です。


全くの間違いです!


彼らが根拠としているのが、『古事記』『日本書紀』には、ほとんど神武天皇の実績が残されていないから・・・・というものです。


それでは、『ウエツフミ』を見てみましょう。

そこには、こと細かな政策実績や、逸話が満載されています。

しかも心温まる感動のストーリーが多いのです。



神武天皇が即位したときの統治体制

まず、神武天皇が橿原の宮で即位した直後の、統治機構と、そこに配置された人物名が、『ウエツフミ』には正確に残されていますので、一覧表にしてみました。

M40-13


これを見る限り、

◆近畿に於ける勢力範囲は、奈良県と和歌山県が中心だった。

◆ほぼ日本列島全域を管理下に治めており、建(タケル)」と呼ばれる県知事クラスの役職が全国に配置されていた。

◆とはいうものの、まだまだ部分的に虫食い状態であり、この時代には都市が形成されていなかったのか?あるいは外国人の侵略を受けていたのか?などの理由が考えられる。特に、関西においては、佐賀・長崎・広島などの重要地域について記載が無い。


個人的には、この表を作成しながら、その個人名のバリエーションの豊富さに驚いており、これが捏造されたものとはとても思えません。

つまり、実在した人物を正確に記したものであると考えざるを得ないのです。



神武天皇の政策実績と、崇神天皇との違い

結論から先に書きますが、神武天皇と崇神天皇は、全くの別人でした!


このことを証明するため、私が作業してみました。

下表は、神武天皇に関する『ウエツフミ』の記述と、崇神天皇に関する『古事記』『日本書紀』の記述を、比較して対比させたものです。

全く違う人物であることが分ります。


また、これは詳細に読み込んだ人にしか分らない実感ですが、両者はキャラが全く違います。


<崇神天皇の性格>

例えば、太閤検地ならぬ「人口調査」をして、納税と苦役を義務付けた崇神天皇ですが、その立ち位置はまるで「支配者」であり、弥生時代の王族とは全くスタンスが違います。

しかも、疫病で国民の半分以上が死んだあとにですよ。

だから、女性にも課税せざるを得なかった?

多分、人民からは大変恨まれたでしょうね。

「ハツクニシラススメラミコト」という称号は、「日本初の絶対王政の誕生」という意味ではないでしょうか?


<神武天皇の性格>

これに対して神武天皇は、社会的弱者(女・子供・老人)たちが、自分の土地を持てないため困窮する様子を見て、耕作し終わった休耕田を貸して二毛作をさせるというナイス・アイデアを実行しています。

それはすでに「神様目線」であり、「取る人」ではなく「与える人」になっています。

崇神天皇とは立ち位置が全く違いますよね。



上記(ウエツフミ)とは?

以上の記載内容を見る限り、『ウエツフミ』とは、日向族が書いた歴史書であり、ウガヤフキアエズ王朝の「正史」であると結論することができます。

 

しかし、なぜ『古事記』や『日本書紀』が、第73代ウガヤフキアエズの命である神武天皇の実在性を証明する史実を抹消してしまったのか?そちらのほうが大問題だと思うのです。

 

結論からいえば、神武天皇は日向族の出身であり、その後、皇位を継いだのが【その2】で書いたとおり、別の種族の出身者だからと考えざるを得ません。

 

だから、『古事記』や『日本書紀』においては、神武天皇は、それ以前の天孫たちと自分たちとの血統のつながりを証明するためだけに利用され、その功績についてはなるべく触れないでおきたい。なぜなら、またこの一族が復活されては困るから、ということではないでしょうか?



連載シリーズ 『ウガヤ王朝滅亡から大和王朝誕生まで!』

【その1】神武天皇の皇子たち

【その2】【欠史八代】と呼ばれる天皇たちの正体

【その3】神武天皇の実在性を証明する史実


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