磐座を積み上げた女帝のお話し

祖母山の南東にある「神さん山」

(宮崎県延岡市祝子川)

http://kojiki.gozaru.jp/sub/046.htm


ここの巨大な磐座は、「海彦山幸伝説」でも有名です。

 

この磐座を積み上げたという女帝の逸話が「ウエツフミ」に残されています。


第14代女帝とその母親・クシオトメの不思議な物語

◆第13代・ウガヤフキアエズ天皇(豊明国押彦の命)には、子供がありませんでした。

 

◆ある日「クシオトメ」という女官が妊娠したので、大臣たちがその身元を尋ねると「自分は卑しい山賊の娘です」と答えます。
大臣たちが「そなたの腹には天皇の御子が宿っているのだから正確に答えなさい」というと、「私には分かりません、父に聞いてください」と言います。

 

◆そこで父母を呼び出して尋ねると、不思議な物語を始めます。
「私どもの祖先は、火之須勢理の命(海彦)が、地元の娘に孕ませた子の十三代目にあたります。
この子の母親は、とても賢い娘でしたが、50歳になっても子供が無かったので毎日神に祈っておりました。

 

ある夜の夢に、野原を歩いていると、いかめしい男たちが集まってたき火をしていたので、そばを通り抜けようとすると、男たちが怒って焚き木を投げつけてきました。
その火が喉から入り、口が焼けるところで目が覚めました。

 

すると、ほどなく妊娠したのですが、臨月の3か月後にやっと生まれた赤子は、なんと鳥のような格好でしたので、怪しんで山に捨ててしまいました。
10日あまりしてから心配で見に行くと、猿がお乳を与えており、雄猿はヨモギの汁を与えていました。

この猿たちに子供を返して欲しい!というと、うなだれて返し、そのまま鶴の姿になって飛んで行ってしまいました。
なんとも奇妙なお話なので、この子をクシオトメ(奇乙女)と名付けました。」

 

◆するとこの話を聞いた大臣たちは、このクシオトメに「奇火鶴姫の命」という名前を賜り、側室として正式に取り立てました。
ほどなく生まれた御子は、「火之須勢理奇猿姫(ホノスセリクシマシラヒメ)」と名付けられ、のちに第14代・ウガヤフキアエズ天皇に即位します。

 

◆ところがこの女帝、子供の頃から男勝りの性格で、体もたくましく、屈強な男たちも負かすという状態でした。
この御子が12歳の折、野山で遊んでいるとき、大岩を積み上げて戯れていました。
(鎌倉時代の)今は、この岩は宮崎の国の山の上にあり、村人たちは「姫屋の岩」と呼んでいます。

 


私の解釈では?

以上、なんとも不思議なお話ですが、火之須勢理の命(海彦)のDNAが、何代も経ってから突然開花したということでしょうか?
それを信じて女帝にした、当時の人たちの大英断もみごとで、心温まるストーリーとなっています。

 

そういえば、弟の山彦が天皇に即位したとき、兄の海彦は「後ろ持ち」という役目を仰せつかっています。
つまり「バックアップ天皇」という意味でしょうか?


そのDNAは、現在でもどこかに保存されているかもしれませんよ。
復活の日に備えて・・・・!!

 

「神さん山」を訪れた際には、ぜひこの女帝のことも思い出してみてください。

 


神さん山

巣ノ津屋洞窟遺跡

宮崎県延岡市北川町祝子川

※「祝子川温泉美人の湯」から、大崩山登山口方面に向かって約500m程(徒歩10分・車1分)