隼人による「背乗り疑惑」が浮上!

隼人の起源について「古事記」・「日本書紀」では下記のように説明されています。
◆海彦・山彦は、三人兄弟だった!
◆このうちの一人が隼人の祖先である。
(具体的に誰の子孫なのかは記述が大混乱している←多分意図的に)

ところが、「ウエツフミ」と対照してみると、全く違うではありませんか。
◆海彦・山彦は、二人兄弟だった!
◆三人目は、ヨスセリという赤の他人である。
◆このヨスセリが大和で反乱を起こしたので、山彦が鎮圧した。

この「ウエツフミ」の記述が、山彦の子孫である日向族からの公式見解であるとすると、「ヨスセリ」こそ「隼人」であったことになります。

 

潮満玉で溺れ苦しむ様子が「隼人舞い」として伝わっていること、このとき顔に赤い泥を塗ったことなど、証拠は多く上がっています。
つまり、隼人はここから皇室の系図に「背乗り」してきているのです。

そして、この隼人はその後、どこに行ったのでしょうか?
ヒントは、反乱を起こした場所が「河内の哮峰(いかるがみね)」だということ。
この場所こそ、ニギハヤヒが降臨した場所ではありませんか。

つまり、「海彦・山彦」と「ニギハヤヒ」を巧妙に利用しながら、自分たちの存在を、記紀のなかに挿入してきているのです。

ここから、下記の仮説が成り立ちます。

 


神武天皇=ヒダカサヌ別人説

さてさて、大変ややこしい話なので、箇条書きにしてみましたが、それぞれに充分な根拠があっての推論ですので、心してお読みください。

(すべての証拠を書いてゆくと、誰も理解できないほど複雑になると思いますので)

 

<紀元前660年頃、出雲国滅亡>

◆出雲国が滅亡した直後、ドサクサに紛れて、隼人が大和の地に侵攻して来て、大和に居た出雲族と衝突する。
◆この戦乱を、出雲族の「富家文書」では、「神武天皇」が東征してきたと伝えている。

◆出雲軍は穴門の国でこれを迎え撃つが、敗退して大和を明け渡すことになる。
◆つまり、神武天皇とは隼人族の出身で、日向族ヒダカサヌとは別人である。

 

◆このとき、神武天皇はニギハヤヒを担いでいたとあるので、日向族の信仰する天照大神とは異なる。
◆記紀に書かれた神武東征のルートとは、すなはち隼人東征のルート(宮崎~大和)であり、日向族のヒダカサヌが東征したルート(大分~丹波~和歌山)とは全く異なるが、両方とも事実である。
◆ここにヤタガラス族という謎の帰化人が隼人に加担する。


◆その後、大和を占領した神武天皇=ヨスセリ=隼人族は、日向王朝の山彦に鎮圧される
これが冒頭の「海彦・山彦伝説」であり、伝説としたのは事実を隠ぺいするためである。
◆ここで隼人は、いったん日向族に降伏し「以降は天皇家の吠え犬となりましょう」と約束する。
◆出雲族も大和の地に戻り、隼人族と共存する。

 

<隼人が大和で開いた【葛城王朝】>

◆隼人族は、皇位継承権を持たなかったので、出雲族の事代主と外戚関係を結び、出雲国との連合政権をめざす。
◆隼人族の神武天皇は、三嶋溝咋耳(みしまのみぞくひみみ)の娘の玉櫛媛(たまくしひめ)と事代主との間の子、媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめ)を皇后とする。
◆一方、日向族のヒダカサヌ(第73代ウガヤフキアエズ天皇)は、臼杵のイスケヨリ姫を皇后とする。

 

<数百年後の紀元1~2世紀>

◆今度は、日向族のヒダカサヌが東征してきて、出雲族の末裔であるナガスネヒコと衝突する。
◆このとき、隼人族はヒダカサヌ側に付いた勢力(ウマシマテ、シイネツヒコ、弟ウガシ、磯城氏など)と、ナガスネヒコ側に付いた勢力に分かれる。
◆結果的には、日向族のヒダカサヌが勝利し、豊の国から橿原宮に遷都してくる。
◆ところが、再び隼人族の神武天皇の子孫が反乱を起こし、政権を奪う。

 


その後、隼人が物部氏となった

さてさて、いかがでしょうか?
かなり複雑で、奇想天外な古代史ですが、どうやらこれが真相のようです。

このように、隼人族から出た神武天皇と、日向族から出たヒダカサヌを別人であると理解すると、「古事記」も「日本書紀」も「ウエツフミ」も全て正しいことになります。

最後に残る問題は、はたして隼人は、皇位継承権を手に入れたのかどうか?
という点ですが、「ヤタの鏡」を持っていた日向族が、すんなりと手渡すとは思えません。
だから神武天皇は、それを持っていたヒダカサヌになりすます必要があったのです。
ここから古代史の迷走が始まります。

さらに隼人族は「ニギハヤヒ」という新しい神様に王権の根拠を求めました。
そのうえで、日向族が信仰していた天照大神⇒ニニギの命や、出雲族が信仰していたスサノオを、徹底的に封印する必要がありました。
これらの勢力が二度と復活しないように・・・・

つまり、隼人は、その後「物部氏」と呼ばれるようになったのです。

このように見れば、全てはスッキリと解決します。
ただし、あくまでも仮説の域を出ていないので、ぜひ、みなさんの意見をお聞かせください。


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